酒場

大好きな友人のミュージシャン、クマガイマコトさんが、「酒場」についてとっても素敵な言葉を綴っていました。
日頃想っているけどなかなか言語化が出来なかったことなのでとてもスッキリしました。笑
酒場が大好きな皆様、是非ご一読ください。
「時代の先端を走ることもなく、かといって取り残されるほど時代との関わりもなく、ただそこに超然と存在するBAR」
これ、理想のあるべき姿、僕らもまだまだ。
精進あるのみ!
以下、抜粋。
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BARが好きだ。
古びた町の、寂れた通りの端っこにあるような、
時代の先端を走ることもなく、かといって取り残されるほど時代との関わりもなく、
ただそこに超然と存在するBAR。
 
僕はお酒が一滴も飲めないアルコールアレルギー体質のくせに、
20代の頃はコーラを瓶でラッパ飲みしながらで毎晩BARに入り浸り、
30歳になった年には好きの勢いが余って自分で一軒のBARを経営するようになっていた。
意を決してミュージシャンに職替えをした後も、気が付けば僕が選んだライヴ会場はBARばかり。
 
夜の街で、夜の酒場で、僕は人の世の成り立ちを学んできたと思っている。
夜の街には歌が溢れている。
いや違う、夜の街すべてが歌なのだ。
時にヒリヒリするほど残酷で、なのにそこはかとなく温かい。
酔えば酔うほどに、人間は正直者になる。
それが愛おしい。
良いもなく、悪いもなく、人間は不完全で愛おしい生き物である事実を、BARではみんなで共有し合う。
BARには真理がある。
(もちろんそんなものが全く存在しない、薄っぺらくてくだらないBARもあるけど)
 
 
余計なお世話ながら、自分より若い世代の人達にたまに伝える。
SNSをやりながら自宅飲みもいいけれど、
夜のカーテンが降りてきたらとにかくBARに行きなさい。
給料をもらったらまずは酒場で使いなさい。
ドキドキ震えながら最初の重いBARのドアをくぐりなさい。
怖い人達が集まっていて、怖いマスターに怒られる場所なんだろうという誤解はきっとすぐに解けるだろう。
そしたら、怖れってやつのほとんどは自分の思い込みなんだということを最初の日に学べるはずだ。
酒場に行って、たくさん失敗して、たくさん怒られて、ケンカもして、謝り方を学んで、たくさん恋をして、たくさん愛されなさい。
泣きたくなったら家には帰らず、BARに真っ直ぐ行って泣きなさい。
そして許すことと、許されることを覚えなさい。
 
などと偉そうなことを言ってしまう。
たまに。
でも本当にそう思う。
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写真は2019年。アイルランド、僕が第2の故郷だと思っている街のPUB。
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